EVENT REPORT

2月16日 里山帰農塾フォーラム REPORT
 
2006.2.16  更新日 2006.2.23 text:宮田武宏


2006年2月16日、里山帰農塾フォーラムが開催されました。70名の定員を大幅に上回る100人以上の人が来てくれました。フォーラムのテーマは『帰農塾で学ぶ、農的生活という生き方』です。帰農塾の参加者が、単に田舎で暮らすことを希望するというよりは自分のこれからの生き方を考えようという意思を持った方が多く、それならば里山帰農塾の方向性も生き方を考えられるような方向に向かうべきではないかと考えたからです。

高野さんの話は、知識労働が主体になった現在、田舎暮らしをするのは現世遁世ではなく、今から新しいことを始めるのだ、少なくともこれまでの1.5倍は生きてやろうという意欲的な話と、もうひとつは団塊ジュニアたちの生き方です。『格差社会』という言葉がはやっているが、団塊ジュニアたちは、父母の世代とは異なる新しい価値観を見つけ、生きていこうとしている。その生き方に着目すべきであるという話でした。

次は、甲斐さんの話です。定年帰農の流れもさることながら、若者たちが直感を持って農村に入って行っている、都市では実感しにくい自分の居場所、役割が実感できるという話でした。藤本さんの生前最後のインタビューをしたときに、『ポジションがわかればミッションがわかる』という言葉を述べていたこと、その言葉が今農村で具現化しているということを話してくれました。

石田さんからは、都市住民を受け入れる側からの話がありました。従来は、農村の人々は都市に負けているという認識が強かった、しかし今はむしろ都市の人々に負の遺産とされてきたものの価値を教えられている。藤本さんが20年前に言い始めた、『農村との親戚づきあい』を追求していきたい。都市と農村の考えは違えども、その違う意見があるから破綻するのではなく、バランスをとりながら行動しているという話でした。

加藤登紀子さんの話が始まりました。他の3者とも共通する視点でしたが、生き方に多様性が出てきている、『これからどうやって生きようか』と考えている人々が増えている。
そして、『農的生活』とは、自分の手で生み出す、そういう能力を身につける生活だ、という定義づけをしてくれました。

質疑応答では、村おこしへのアドバイスを求めたり、ふるさと回帰の流れは全国的なものなのか、東北地方はおきざりになっているのではないかなどの真剣な意見も出され、講師たちも自分の立ち位置からそれぞれ感じられることを答えていました。この問題に対してヒントになるのは、やはり『地元学−ないものねだりではなくあるもの探し』という言葉ではないでしょうか。ここには何もないと思っていたり、これがあるのはあたりまえだ、と思っていることも実はそれがすごいこと、つまりあたりまえのすごさに気づくことが必要だということかなぁ、と考えました。

トークが終わってからの懇親パーティーでは、みなさん食べる時間も惜しんで交歓を深めていました。私も王国会員さん、帰農塾に参加した皆さんをはじめ、初めて参加してくださった参加者の皆さんと話をすることができました。短い時間でしたが、これからの関係を作るうえでいい機会となりました。都市農村交流というならば、都市住民を農村に呼ぶだけではなくて、農村からも積極的に都市に赴くべきだとの意を強くしました。実は、このフォーラムに参加したことで、帰農塾に申し込んでくださった方がいます。少しでも参加者の皆さんに新しい風を吹き込めたかと思うと嬉しくなってきました。

このフォーラムをやってみて、自然への回帰現象が細々とではあるが絶えない流れとなっていることに気づかされました。里山帰農塾も、これに勢いづけて取り組んでゆきます。

































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