EVENT REPORT

7月15日-17日  里山帰農塾 7月コース 野菜たちの王国
 イベントREPORT
 
2006.7.15-17  更新日 2006.7.25 text:宮田 武宏


  「県道から迷いながら着いた自然王国はまさに日本の里山そのものであった」(参加者のH.M.さん)すみません。自然王国の看板はわかりづらいのです。対策を打たねばなりませんね。嶺岡山系の中腹にある自然王国で開かれた今回の帰農塾には、男性6人、女性5人の計11人、最年少は23歳、最年長は73歳と年の差の広い参加者とともに行なわれました。

  高野さんにしてもらう予定だった講義は、高野さんのモンゴル旅行!のため急遽田中正治さんに代役をしていただきました。講義の流れは、戦後の農政史をざっとふりかえり、これからの流れはどこへ向かうのかを示唆する内容でした。参加者のR.A.さんによれば、「田中氏の日本現代農業史の解説を通して、新しい農業と農的生活への転換の必要を改めて考えることが」できた、とのことです。

  甲斐さんの講義では、甲斐さん自身が歩いた全国の「地元」の話です。「くに」より先に「むら」がある。「生存に関わることは自前でやるのが当たり前」という、聞くとわくわくする言葉が出てきました。なんでも国に頼るのではなく、自分たちで自分たちの生活の場を守る、ということです。これこそが今必要とされている動きなんだ、と実感しました。全国で農的生活に飛び込んでいる若者の事例を聞いたことで、「私たちも何かやらねばならないのではないだろうか」と、そんな気持ちになった若手の参加者もいました。

  2日目の朝は、田の草取りです。これは、5月の帰農塾で田植えした田んぼです。

またまたH.M.さんに登場していただきます。「田の中の生き物たち、田の泥の柔らかさ、体を使っての労働の楽しさと大変さを実感する。」田の中に入る感覚の楽しさは、多くの方が感じられています。草取りを終えた田の姿は、すっきりしていてきれいでしたよ。稲刈りが楽しみですね。

  草取りの後は、王国で農場指導をしてくれている川名さんに来ていただいてのにんじん播種と夏野菜収穫です。「(座学、実習の中で)とりわけ印象的だったのは、農作業指導にあたってくれた川名氏という現役好々爺の存在で、つらそうな農作業をヒョウヒョウと語る語り口に、農民のたくましさを感じた」(R.A.さん)、といった感想が多かったです。翌日は、川名さんの畑にいき、みかんの摘果と、ブルーベリーを食べながらブルーベリーを収穫しました。ブルーベリーが甘酸っぱくて、とっているのか食べているのかわからない状態でした。それは私だけ?(笑)

  参加者の感想にもありましたが、川名さんは年齢に応じた農業のあり方をとても穏やかに、楽しく語ってくれます。王国代表理事の石田さんによれば、「現場は強いってことだよ」といっていましたが、そのとおりですね。

  王国に帰り、ちょっと休んで3班に分かれて豆腐づくりをしました。交流会のとき、どの班が一番おいしいか食べ比べをするので、みなさん必死です。

  最後の座学は、杉山さんです。足掛け23年、鴨川に移住してから18年間の話をしてくれました。「食と器の体験」として、人生の中でいつも使う茶碗を自分で作ってみよう、その茶碗で自分の育てたお米を食べてみよう、という企画です。5反歩の田んぼに取り組み始めて、初めて雨を心待ちにするようになった、ザリガニに殺虫剤を使うのではなく自分で捕まえる方法を考えるようになった、とまさに農的生活の実践者であるところの率直な思いを軽妙なユーモアを交えて語ってくれました。

  最後に、23歳の女性、Y.T.さんの感想でしめくくります。「田に入り・・・手足を入れた感触を楽しんだり…、おいしい野菜料理をみなさんと楽しんだり。ここでの体験の一つ一つから自分に本当に楽しい、嬉しいという気持ちを強く抱かせてもらうことができた。・・・自分の道を模索していく中での糧の一つになっていと強く感じる。」力強い思いです。

  4年目を迎えた里山帰農塾も、充実をより深めてきています。参加者とともに考え、自分の位置を確認し、さらに帰農塾を深いものにできるよう取り組んでいきます。






























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