EVENT REPORT

11月16日-18日 里山帰農塾 冬〜季節に合わせたくらし〜REPORT
 
2007.11.16-18  更新日 2007.11.26 text:宮田 武宏

2007年の里山帰農塾も、今回で4回目を迎えました。
4回参加が2名、3回参加が1名、2回参加が2名と、 参加者13人のうち5人の方がリピーターで参加してくれました。
いったいどんな帰農塾だったのでしょう?

[1日目]

<自己紹介〜帰農への思い>

4回申し込みをしたものの、仕事の都合がつかず、今回やっと参加することができた方、 インド旅行の果てに自分の道を探している女性、ゲストハウスを経営しながら、将来は 自給自足生活に入りたいと考える方。陶芸学校に通うためにお金をためている方。 身体を動かして考えて行きたい、と思う学生など、今回も多彩な方が集まりました。


<高野孟塾長 「世界地図の読み方〜911後の世界と日本」>

今年の四月から鴨川暮らしを始めた高野さんの講義は、 どんな考えで家をデザインしたのかから始まりました。 水道を引かずに、山の水をどのように確保したのか、その中で 地元の方とどう付き合っているのか、などこれから移住を考える方には参考となる内容でした。 20世紀は、戦争と石油の時代だった。21世紀はユーラシア大陸の世紀となる。
これまでとは文明の有りようが異なってくるだろう。
レアメタル資源の問題など、話題は多彩にわたりましたが、 日本のできることは、日本的な自然観と、代替的なライフスタイルの提案ではないかと話されました。 農的生活の中に自然に現れてくるものが、いわゆる日本的なものなのかな、と考えさせられました。


<登紀子とトーク>

高野さんの講義の後には、この時間しか時間が取れないということで、急遽登紀子さんのトークが始まりました。
土の上に根ざした暮らしをしたい。世界は考え方で変えられる。という言葉が参加者の胸を打ったようです。


<林良樹講師 私の半農半X「地域通貨安房マネー〜NPO法人うず」>

「何かを作る」ことがずっと好きだった林さん。
夢でビジョンをみて、ピンと来たところにゆくという旅を続けて、夫婦で鴨川にたどり着きました。
鴨川で市の空き家対策事業に応募し、大家さんとの交渉を経て
古民家を改修して暮らし始めます。
その後、地域通貨安房マネーhttp://www.awa.or.jp/home/awamoney/
をはじめました。安房マネーは、自立した一人一人がつながりあう、 緩やかなコミュニティになっています。(筆者も会員です) さらには、今年度発足させたNPO法人「うず」の活動も紹介されました。
鴨川市に「鴨川市バイオマスタウン構想」を提案し、鴨川をエコビレッジに 指定校という動きを始めています。
以下のアドレスは、うずでバイオディーゼルを作ったときの映像です。
http://www.oceantv.jp/4ch/070728.html
講義後の質疑応答で、Yaeちゃんの、「田舎暮らしで一番困ったことはなんですか?」という質問に、 「う〜ん、そうですね・・・」「僕はウルトラポジティブだから、あまり大変だ、困ったと思わないのかもしれないですねぇ。」 実はこの質問が林さんにとって一番困った質問だったのかも・・・


[2日目]

<炭焼き〜山林作業>

炭焼きは、従来王国で使っていた窯が古くなったため、ドラム缶窯を新調しました。 これに耐火レンガを積み、耐火セメントで固めました。
左側には土を積まず、右側には土で覆ってあります。
まず、炭の材となる木を、細いものから太いものへ、2段組で積んでゆきます。
それから、窯の入り口で火を焚き、中の材を加熱します。
ここからひたすらうちわであおぐ、あおぐ、あおぐ。
その後、熱が落ち着くとふたを閉めて、後は一昼夜おいておきます。

うちわであおぐのは大勢でできないので、隣の山で間伐作業。
3人〜4人一組で木を伐っていきます。
一生懸命やっている様子がわかりますね。

最後、やりきった表情の皆さんです。

さて、問題の炭焼きの結果ですが、右側の窯はよくできましたが、 左側の窯は生焼けの状態でした。
小原講師に聞いたところ、「温度が急に下がったのではないか」といっておりました。
原因を追究せねばなりませんね。

<そば打ち>

昼食後はそばうち10年で王国会員の井上さんが講師です。
そば打ち姿も鮮やか、八王子の中学校でそば打ちを教えているだけありポイントを抑えたすばらしい実演でした。
参加者のみなさんも鮮やかな手並みに習おうと、楽しく熱心にそば打ちをしていました。

<甲斐良治講師 「消費者から当事者へ」>

11日に行われた「土と平和の祭典」や、
全国の農業イベントを題材に、spark of contact (出会いのきっかけ) について話されました。
このようなイベントでは、生産者と消費者がつながるいい機会となっているのです。
単に安全、安心、安いというだけの消費者から、生産現場を知るにつれて自分たちにできることはないか?と考え始めます。
その表れが「鳴子の米プロジェクト」なのですね。
行き過ぎた商品経済は暮らしの幸福をもたらさない。
自分たちのできるところから始めていくこと。そこでできる関係こそが楽しみなこと。
参加者のみなさんも、自分のできることは何か、模索を始めているようでした。

<交流会>

夜は交流会です。寒かったので、講義会場となった山小屋で行いました。
サトイモの煮物、ふろふき大根、葉物野菜のサラダなど、王国野菜を中心にたくさんの料理が出されました。
寒空の中焚き火をして、火を囲んで話は続いていきました。


[3日目]

最終日の朝はたまねぎ定植です。このたまねぎは来年5月に収穫します。
そういえば、今年の5月に去年の帰農塾で植えたたまねぎを収穫しましたね。
今回は、2000本の定植を12人で終わらせました。
参加者からは、全部出来上がったところで、最後の定植だけをするのではなくて、最初の畑うない、マルチ張りなども一緒にやりたい、という意見が出ました。
準備、時間の観点からはそのとおりにできるかはわかりませんが、なんとかそれにそったようなアイディアを考えたいと思います。

これで、今年度の里山帰農塾が4回とも終わりました。
今年は、同窓会も行い、今までとは少し違った帰農塾になりました。
リピーターが多く、年間通して自然王国を体験してもらうこともでき、来年への道筋が少し見えてきたような気がします。
来年度の予定は、2008年初頭には公開できる予定です。

自給自足に関心が高まっていますが、地域を成り立たせていく暮らしをどうするか、という観点から帰農塾の内容を考えていきたいと思います。
ではまた、来年の里山帰農塾でお会いしましょう。








































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