EVENT REPORT

7月19日-21日 里山帰農塾 〜夏〜 イベントREPORT
 
2008.7.19-21  更新日 2008.7.30 text:宮田 武宏

里山帰農塾7月コースは、男性6人女性9人の計15人でスタートしました。
大学を休学して自分を見つめている人から、小学校の教師をやっている方、定年後の生き方を模索する人など、今回も幅広い年代の参加がありました。
何か思いを持って集まった人が作る集団は,それぞれが個性的でおもしろいです。
昼食時から,それぞれの話をしたり,交流が始まっていました。

高野孟さんの講義では、国の自給率もいいが自分の自給率を高めようという言葉に触発された参加者がいらっしゃいました。
また、メディアにだまされず、自分の考えを持つべきだという視点で洞爺湖サミットの解説もあり、帰農塾にいながら世界情勢を学びました。スタッフの私も早速数冊の本を注文し、勉強し始めました。

里山棚田見学では、大山千枚田保存会で行っている「家づくり体験塾」で家を建ててしまったIさんのお宅にお邪魔しました。
春から建設を始めて、7月に完成した家は、無垢の木でできたすばらしい家です。参加者にとっては、自分もこんな家 を建てたい!と思った方もかなりいらっしゃったようでIさんをつかまえていろんな話を聞いていました。Iさんは、長年王国会員として活動していて、昨年早期退職して鴨川に移住しました。王国の活動が、少しずつ広がっているようで嬉しいです。

星野春樹さんは、鴨川で24年間有機農業を営んでいる方です。
帰農塾には就農希望の方もいらっしゃるので、現場の生の声が聞けて満足の様子でした。星野さんは新潟の農家の出身で、農業が嫌だったのですが仲間でやり始めるととまらなくなって、ついには鴨川に移住して農業を始めた方です。初めに借りた田んぼは条件の悪い所でしたが、持ち前の気力と体力でがむしゃらにとりくんだそうです。しかし、こどもの進学を考えた時、米での安定した収入を得るため、田んぼに除草剤を一回まくことを許容した、というあたりは ぎりぎりの判断に心を打たれました。本当に現場でやってこられた方の言葉は重く心に入ってきました。『農業は、わがままな人間には最高ですよ。農業は何やってもおもしろいですよ。』という言葉が強く印象に残りました。

二日目は、体験実習?畑作業から始まります。
まずは保温、草抑えのためのマルチをはがして、種用のアサツキ、エシャロットを掘り上げます。王国農園は休耕していた棚田を復興したものなので、一枚の畑が小さいです。15人で取り組むには狭い気がしましたが、実際始まってみるとこれがなかなか大変。しかも、二日目の朝はとても暑かったのです。休みを入れたりしながら種を掘り上げました。この種は9月にもう一度埋めて、冬から春の収穫に備えます。その後トラクターですぐ耕したところに、人参用の畝をつくります。みなさんなれない手つきながら、懸命にやっておられました。今回まいた人参は、うまくいけば11月には収穫できます。11月の帰農塾で食べられるかもしれませんね!

昼食後は、祭り寿司づくりです。
この地方では,ハレの日の食事として作られてきました。地元の方を先生に、みなさん熱心に、楽しく作りました。写真では見づらいですが、きれいに模様が出ましたよ。このお寿司は、夜の交流会でみんなで食べました。とてもおいしかったです。

帰農塾最後の座学は、増刊現代農業編集主幹の甲斐良治さんの講義です。
甲斐さんの講義は、「あきらめてはならないことがあり、失ってはならないことがある」という言葉に集約されるように思います。帰農塾レポートでも何度か触れた「鳴子の米プロジェクト」の活動、新潟県上越市の「上越後山里ファン倶楽部」の活動、小児科医の不足に不満を言うのではなく母親たち自身の問題として活動した「兵庫県立柏原病院」の活動など、全国で行われている「あきらめてはならないことがあり、失ってはならないことがある」活動を伝えていただきました。私自身、普段の自分の仕事もこの「あきらめてはならないことがあり、失ってはならないことがある」という言葉を支柱としてやっていきたいです。

その後は、加藤登紀子の特別講義を行いました。
登紀子さんは、帰農塾の直前に開かれた洞爺湖サミットをテーマに、今どのように生きていくべきかを熱く語ってくれました。講義があることをみなさんにお知らせしていなかったので、突然だったでしょうがご満足いただけたようです。

三日目、最終日は農協の農業指導員だった川名さんの果樹園でブルーベリー収穫をしました。
柔らかいものは食べていいよ、と言われていたのですが、ちゃんと出荷作業をしているのでなかなか柔らかいものがなく、まじめな参加者たちはあまり食べられませんでした。そこで、おみやげ!にブルーベリーを一パックずついただきました。
川名さんの話では、「片手に5千円、両手に1万円の商品が持てるような生産をする」という言葉がみなさん印象的だったようです。たとえば、白菜なんかは1コンテナ10キロほど担いでも、1600円になればいい方ですしね・・・。年齢に応じた農業のあり方を感じて頂けたようです。

最後の意見交換会で沸騰した頭を、甲斐さん特製の宮崎名物「冷や汁」が冷やしてくれました。太陽が照りつける中、冷や汁の冷たさは身体に染み渡りました。ひょっとすれば、9月も食べられるかもしれませんよ?!

さて、7月も終わり次回の9月コースは、稲刈りです!最近日照りが続いてみのりが心配ですが、なんとかこの夏を乗り切ってほしいです。さらには、鶏の解体も行います。「いのちをいただく」一つの体験を経験して頂きます。また、ゲストにはNPO法人うず理事長の林さんをお招きして、なぜ鴨川に移住したのか、鴨川でどのような活動を行っているかを話して頂きます。盛りだくさんの帰農塾、毎回熱いですよ。まだ申し込みには空きはあります(7/29現在)ので、自然王国までご一報くださいね。お待ちしています!



帰農塾夏 参加者レポート



























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