帰農塾 参加者 レポート 
KINOUJUKU SANKASYA REPORT
9月19日〜21日 里山帰農塾 秋  
 
2008.9.21 更新日 2008.9.30

やりたい事とできる事
W.K

 半農半Xを今後の生活の基本形としていこうと、前回の帰農塾以後、心に決めたところです。今回の帰農塾では、自分のぼんやりとですが、気持ちの中にある半農半漁の生活の実現性の程度と理解が少しだけ、増したように思います。自分のXにあたる部分としての沿岸漁業と、釣り竿づくりについては、ある程度(小さな一歩ですが)めどがたったのですが、農業および農的生活については、体験実習での、ブロッコリーの苗の移植をやってみて、何となく育っていくだろうと思っていた野菜作りも、とても細い心配りが重要であることを知りました。また同じく稲刈りについては、農作業は、単純なようで、根気と体力が大きな要素であることを知りました。
 やりたいと思うことの農的生活を実現するためには、自分のできることが、どの程度か思い知った帰農塾でした。
 三日目の討論「農的生活の期待と希望」では、講師及びスタッフの方々の意見として、印象にのこったことは、田舎暮らしは、
@ 自分が遊べるアイディアが必要なこと。
A 農業は、一人でやるものではないこと。
この2点については、今後自分の半農半Xの実現にとって案外重要な点であること感じたところです。


『帰田舎暮し』
S.O

 里山帰農塾に来ると決めたのは、ほんの2週間前、銀座のふるさと回帰支援センターでこんなセミナー(塾)があるよと紹介された事がきっかけでした。5年前から体調を崩し、自分の今後の人生をどう歩んでいこうかと思い迷っていたなか、田舎に帰ることも一つの選択肢である事に気が付いたのですが、田舎に帰って、農業だけで生活が成り立っていくか、経済的(金銭)な面では、どう?なのだろうと、先行きの不安ばかりを考え、前に踏み出す勇気がありませんでした。逆に言えば、その面しか見えてなかったのだと思います。
 ここ(帰農塾)に来て、農的生活をされている方々の話を聞き、また実際に農作業を体験し、農業にも希望があるんだな、やり方、考え方次第で、いろいろな農的生活があるのだと感じる事ができました。希望を感じられた事、可能性があると感じられた事が、何よりもの収穫になりました。一つのテーブルを囲んで、食事をし、たわいもない話をし、月を見て、星を見、虫の声を聞きながら、布団に着く、そんな自然な生活が、今の自分にとっては、当たっているのかなとも思える、確認をする良い機会になりました。
 とは言うもの、現実的に農業で生きていく分にはきびしい課題があるかと思います。自分の気持ちも、揺れ動くことがあるかと思います。その時は、その時で一人で悩まずに、こういう場を利用し、みんなで悩んで行けばと思います。
 最後に、実習で一番印象に残った事は、鶏の解体でした。生きている鶏をしめて、血抜きし、羽を取り、肉をさばき、それを食事で頂く。これはまさに、命を頂く体験でした。
 感謝です。


鴨川自然王国を体験して
T.I

 鴨川自然王国を体験し、自分以外の何物かに左右される世の中で生きるには自分自身に生きる力を付けなければならないということを実感しました。私は今まで何をするにもお金と交換する環境で生活をしてきました。
 社会人として朝から晩まで働いても安い賃金でいつまでこの生活が続くのか常に不安を抱きながら生活をしていて、今回以前から関心があった農的生活とはどういうものなのか、体験をしてみたいと思い鴨川自然王国に参加しました。
 座学、稲刈り、鶏の解体、参加者の方々のお話を通じてまずは都会生活の中で自分に出来ることから農的生活にアプローチしていきたいと思います。


人生にインパクトを!!
R.O

 1週間の夏休みを旅行や、友達とのおしゃべりの時間に使うのも良いけど、人生にインパクトを与える時間にしたいと思い色々な計画を立てました。鴨川自然王国の里山帰農塾は、小さな本がきっかけで、読んだ瞬間、絶対に体験したいと心に強く思い、応募しました。
 ここで生活している人達や、帰農塾に参加して来た方達は、個性に溢れた魅力的な人達ばかりで、年代を超えてとても仲良くなったと思います。
 2泊3日の生活をする中で、鶏の解体や台風後のぬかるんだ田んぼでの稲刈り、外で皆と笑いながら食べるご飯、新鮮な野菜、それから一つ一つが、私に大きなインパクトを与え、自分のライフスタイルを問い直すきっかけになったと強く感じています。
 国や社会の問題にするのは、とても簡単なことです。問題は、私たちが何を選択しているか、だと強く感じました。
 社会の流れや問題を考えるマクロな視点と、自分の生活を単位とするミクロな視点を両方もちつつ、自分が選ぶ全ての物に、問題意識と直結する行動を取って行きたいと思いました。
 農、社会、ライフスタイルまで、色々な年代の方と討論や意見交換が出来たことが大変貴重な経験になりました。出会った方々の全てに感謝したいです。


心が洗われた3日間を終えて
H.T

 「農的生活」への漠然とした憧れと疑問を持って鴨川自然王国にやってきた。そして憧れを現実的なプランに変えることが目的のつもりだった。
 高名な講師の方々を迎えての座学では、「農」を広い視点で考えるための知識とここに書き切れないほどたくさんの印象的な言葉があった。和気藹々と笑顔の耐えない農作業体験では百姓の知恵と美しさを体で感じ、絵に画いたような棚田と里山の風景の中で土と水と植物に思う存分触れた感動が手のひらと足の筋肉痛に残っている。体に貯まった毒素やストレスが毛穴から吹き出ていくのがわかるような爽快な労働だった。こんな喜びは都会でどんなに大きな仕事をしても味わえないだろう。
 集まった同士たちも王国のスタッフの方々も皆一クセある不思議な魅力を持った人たちだった。まるで初めて出会ったわけではないような居心地の良さを感じたのは同じ志を持つもの同志の波長が合ったのか。この出会いも何よりの財産だ。
 結果的に、自分の問いに対する答えが出たかというと残念ながらそれはかなわなかった。だが、次の一歩に進むためのヒントは溢れるほど手に入れた。自分と農的生活の付き合い方、さらにより現実的な材料として日本と農のあり方、都会と田舎の価値観の違い、行政とコミュニティーの可能性など、様々なテーマで問題を洗い出していき、自分と「農」の距離を縮めるように洗脳していきたいと思う。
 そして、鴨川自然王国には迷える都会の人々や希望を見失っている地方の農村にお金には換えられない新しい価値観を提唱し、巻き込んでいってほしいと思う。
 最後に、里山帰農塾を企画・運営・サポートしてくださった、スタッフの皆さんと貴重なお話を聞かせていただいた講師の皆さん、心の声を伝えてくださった加藤登紀子さん、そしてこの地に私を導いてくださった故・藤本敏夫さんに心から感謝を述べたい。
 伝えたいこと、書きたいことはまだまさたくさんあるが、都会に帰るバスに乗り遅れると色々と厄介なので、この続きは次の帰農塾で話したいと思う。
ありがとうございました。


小さな農から
Y.K

 原始的な生活、技術に興味があったので、鶏の解体、農作業体験はとても楽しんで行えました。ここでの自然の豊かさ、地域のつながり、また地域を越えたつながりを感じ、都内での農的生活を思うと寂しい限りですが、まずは己の力の範囲内で東京での価値観に最前線で抵抗して行きたいと決意しました。東京に土と美しい空気・水を取戻し、農的コミュニティができる。そんな日が来ないかしら?


台風13号
S.H

 それは きみの
  ささやき。
 それは きみの
 ためいき。
そして、それは
 きみの なみだ
そして きみの
 いかり。
それは きみの
 かなしみ。
そして、それは
 きみの なみだ
それは きみの
 ほほえみ。
それは きみの
 くるしみ。
そして、それは
 きみの なみだ

 第一日目 深夜三時過ぎくらいから、台風13号による風と雨音を聞きながら都会のコンクリートに囲まれていた時とは違う感覚におそわれた。人間生活に甚大な被害を与えるという意味では台風の存在は、都市も田舎も関係ないはずだと思っていたがどうにもこの考え方は誤りであると思う。
 なぜならば、あの暴風雨のにもかかわらず稲刈り後の田んぼでほされていた苗はほとんどたおれることもなく、鶏小屋では何ごともなかったかのように鳥たちは鳴いていた。散歩してあたりをみて回っても、小枝が落ちている外はたいした変化をみつけることがなかった。もちろん台風の勢力が小さかったこともあるのだろうが、田舎の里山と云うのは驚くほど強い構造をしているということだ。こんな簡易な事にどうして今まで気づかなかったのだろう。学ぶべきことはまだまだ続く。


帰農塾の秋 
H.K

 帰農塾は今回でもう4回目になった。来る途中で春に植えた稲が稔り、夏に蒔いたニンジンがりっぱに育っているのを確認した。
 スタッフの方々とは2ヶ月ぶりの再会である。塾長のマスコミ報道の読み方についての講演があり、改めて報道のうら側にあるものをいかにとらえていかなければならないかを学んだ。林さんの「哲学」ともいえるお話は、講演の直後にしばらく質問が出ないほどインパクトのあるものであった。
 二日目はいよいよ私にとってのメーンイベント、鶏の解体である。人の都合で、家畜、実験動物、ペット、自然界の動物というふうに分けられたうえで、食材や医療の発展のためと称し、命がうばわれていく。一方でこの行為は現場で接するものだけが知っている。つまり、通常は人は肉を食べ、医療を受けているときにこれらの動物達の生命については何も意識していない。こんなふうに、いろいろなことを考えさせてくれた貴重な体験であった。午後の農作業は稲の収穫であった。鶏の解体中に生じた肩こりに悩まされながら、皆さんより少しペース落しての作業であったが、夕闇せまるなか、きれいに架けられた稲穂をみて満足感にひたっていた。イテテ。宴会では、例によって、ひっちゃかめっちゃかの議論が飛び交っていた。
 最後の回は、甲斐さんから映像をみせて頂いた。理不尽な農政と市場原理に翻弄され続けている農業の一端をうかがい知ることができ、またそのストーリーに涙したものである。帰農塾に来るたびに常に何か新しい発見があるというのが実感である。


「地方で生きるという事」
A.A

 鋸南町に移住してカフェを開業してから2ヶ月。毎日考えている事、「再び町を活性化するには、どうすれば…」まだ店も全然軌道にのっていないけれども、何かしなければと思っています。

 今回の帰農塾での石田さんのお話の中で「若者は田舎に仕事が無いというけど、自分で仕事を見つければ沢山ある。」と…なるほど。もっとよく町を観察して、自分で出来る活性化のヒントを探さなければと思いました。
 林良樹さんのように穏やかに。なおかつ心のアンテナをピンと張って、内なるモノを発信して生きられたら素晴らしいなぁ。
 私は、まだまだ未熟者だけども、石田さんのように「背伸び」をして、「未熟でもやれる事をどんどん挑戦すべし“!」と尻を叩かれた気がしました。
 さて、何から手をつけようかぁ。
 帰農塾〜秋〜に参加したのは、鶏を絞めてみたかったからです。「いのちの食べ方」という映画を見てから、一度は経験しなければと強く思っていました。生きるという事は、他の命を「いただく」事だから…。もっと、その事に感謝せねば…
 ありがとうございました。


第三歩
T.K

 三回目の参加となりました。座学で多くを教わって、二日目の体験では、キャベツ・ブロッコリーの苗を植えかえ・鶏の解体・稲刈りとまたまた中身の濃いものでした。一部でも実際は自分で関わると、成長が気になり、楽しみになります。前回種をまいた人参を生でおいしく頂けたのは望外の喜びでした。鶏の解体では、出来るだけ安楽死をというお話や、一羽から普段目にするパック売りの部位への過程にふれたことで、頂くことへの感謝の気持ちが湧いてきました。はじめての稲刈りは思ったより重労働でしたが、その成果は感動モノで田植えも経験してみたくなりました。終了近くに目の前に彼岸花。今まで風景として好きだった花が身近になりました。翌日気分のよい痛みにおそわれています。
 千枚田でのお話で、棚田保全自体を目的とするのではなく生活・活動・その結果としての保全ということだったと思うのですが、そのことがとても印象的でした。それが最終日の「鳴子のお米プロジェクト」のお話とつながり、三度伺って少しずつ身にしみたり、新たな感動があったりで、今回もまた有意義にすごせました。そして楽しく健康に。また、講師の方々、スタッフの方々、参加者の方々との交流が世界を広げてくれます。ありがとうございました。


自然
F.K

土に触れ、土とたわむれに来ました。そしてその中で生きることを学びたい。発見あるいは再確認をする。自然と手をつないで生きて行きたい。わになって。苦労を苦と思わず何ごとにも楽しく。なんでも楽しめると思います。みんなで農作業することの楽しさ、たとえ会話をせずとも離れた所で作業をしていようとも、ただそこに存在してくれているということが大切だ。安心もする。空気のようでも。世の中には恐いことがあふれている。悲しくなる。でもそればっかりでは無い。素晴らしいこともあふれている。もっともっと人は穏やかに心豊かに生きて行ければいいのに。私はそうでありたいと思う。だから町を離れ自然と共に生きたいのだ。おいしものを食べ心と体に優しいものを作る。料理する上でも大切なこと。それを一緒に喜んでくれる人がいれば幸せなことだ。分かち合う喜び。月と太陽、季節を感じ自然の中でマイペースにピースにきらきら生きる。きっと楽しい間違いなく。


理由がわかりました。
M.T

 今回二回目の参加にて、自分がなぜ農的生活に興味を持っているのかが明らかになったと感じました。今、職(収入)が続くかという不安、自分の健康に対する不安、食べているものが安全なのかという不安などたくさんある心配事に対して、解決方法を無意識のうちに農に求めていたようなのです。初日の高野さんの話しにて本来の意味の百姓という言葉から農とは特別ではなく民衆そのものであることを知り、自分が農に対して持っていた特別なことであるという考えを改めてさせられました。二日目の農作業では、特に稲刈りが楽しく、夜のビールが美味しくいただけました。三日目の甲斐さんの話では、国の自給率の問題よりも個人の自給率に注目すべきだという話が今の自分にとって現実感があってよかったです。今後どのように具体的に農的な生活をしてゆくかについて理論から実践に一つ進むことができるきっかけとなった三日間でした。


国王への道
S.Y

 今回参加した目的は、王国作りの手法と運営のノウハウを盗むことだったのですが、やはり人徳が決め手のようです。2泊3日の間に参加者やスタッフの方々と色々なお話をする中で国王になるためにはもっと修行が必要だなと思いました。頑張ります。
 今回印象的だった言葉は「鴨川の人は、ある種の共通な価値観でゆるやかにつながっている」と「機械化された農業は淋しい」でした。これからの言葉は農的生活を送るのにはもちろん、王国作りにも重要なことだと思います。
 講師やスタッフ、それに参加者の方々がみんな独特(!?)な人ばかりだったので、とても楽しく過ごせました。ありがとうございました。
 最後に要望ですが、トイレに「使用中」の札をつけてください。あと寝泊りする小屋に、外でもいいので水道が欲しいです。
 追記
 何かを得るには相応の対価が必要だと思います。農的生活の為には多少の不便さや肉体労働、おいしいものを食べるにはお金か手間、都会でお金を得るには健康やある種の感覚など。その取捨選択が問題です。
 この3日間色々なことを見聞きし考えたため、上手く文章になりません。もう少し時間をかけながら、ゆっくり形にしていきたいと思います。林さんの様に見えたらいいのに…。


里山帰農塾に参加して
Y.M

 今回帰農塾に参加するにあたって、以前より農に非常に興味があった事。又今の会社勤めでよいのか、今の社会の仕組みで本当によいのか、現在の社会のあり方に疑問を感じていた事があげられます。実際に参加してみて体験すると思っていた以上にハードであったが、非常にここちよい感じであった。特に稲刈りはハードで翌日は全身が痛く特に腰にこたえたが終わった後は達成感がある。この仕事を日々こなしている方々は本当に大変であるが、労多くして報いが少なすぎると思われる。この大事な仕事を報われる様にする為に皆でもっと真剣に考える必要があると思います。
 この三日間何十年来初めて新聞、テレビの無い生活を送ったが、まったく不自由しないし、又必要性も感じなかった。普段いかにテレビ等に毒されているかが良く分った。



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