帰農塾 参加者 レポート 
KINOUJUKU SANKASYA REPORT
5月15日〜17日 里山帰農塾 5月 〜田植えからはじまる暮らし〜  
 
2008.5.17 更新日 2009.5.21


里山帰農塾へ参加して
K.K

 今回は妻の連れとしての参加という建前でしたが、自然王国にはかなり以前から関心があって機会があれば参加してみたいと思っていました。「農」を現代感覚として感じること、藤本氏というカリスマ的な思想家の残した自然王国にはいったい何があるのか、興味本位といわれそうな気はしますが、ぜひ現場を見てみたいとの思いから妻の誘いに乗せてもらったという感じです。
 まず第一印象、里山というより山村に近い風景に、見事にとけ込んだ建物、棚田の美しさ。都市部では考えられない時間の流れに身を置くことの心地よさ。こんな里山農業なら今の生活を変えるのも悪くないかなという印象でした。
 次に講義を受けての印象。こんなゆったりとした自然の中に、なぜこれまでに熱い人たちが集っているのか。農に対する目的意識と自分の生き方として農を選択したという固い意志に改めて感激させられました。皆さん語り出したらとまらないくらいの意気込みで思いを伝えてくれる講師陣を前に、興味だけで済ませては申し訳ないという気持ちが出てきたのが一日目です。二日目は私達世代から見れば若い人達が、しっかりと地域に根を下ろして地域のコミニティを形造っていることに頼もしさを感じると同時に、それを受け入れてきた鴨川の地域力ってすごいなと思っているうちに田植え実習での肉体的な衰弱もあって考えもまとまらないまま夜の交流会に突入。理事長や小原さんの強力な個性に触れてこれが鴨川の力なのかと勝手に納得。こういう人達に若い人達の行動力が加わり、鴨川モデルと言えるコミュニティが出来上がってきたということを発見した思いでした。若者と団塊世代より上の世代が、うまく共存している関係。若者の思いだけではなく、地域の親世代以上の人々の中に理解者が居て、それらを結び付ける何かがある場所、それが鴨川のような気がします。では、自分にできることは何かと考えたとき、自らの地域に帰って結びつける何かを造ることにあるのではないかとの思いにまでたどりついたのですが、具体的にどうするかのイメージは見えていないという現状です。
 最後に実習について、日頃の身体の使い方に問題があることを再認識しました。山登りは好きで体力にも多少の自信はあるものの、農作業にはまったく役にたたないようで、筋肉の痛みにとまどっています。のんびりした自然の風景の裏には、農作業という重労働があることをわすれていると痛い思いをするようです。


夢と現実
S.K

 「あれ・・・こんなにも美しかったっけ?」見渡す限りの緑に、まず目を奪われた。ここ鴨川に来るのは二度目だが、前回よりもずっと大きな感動を味わえたように思う。それは決して、前回来た時にはここに美しさがなかった訳ではなく、今と同じようにきっと自然や人の美しい風景があり、生活があった。ただ、それを十分に吸収できる姿勢がまだまだ薄かった。そういう意味で、本当に農的な生活をしたい、という自分の気持ちが大きくなってきていることを前回よりも感じた上で今回の里山帰農塾に参加し、参加することでさらにその気持ちが増してきたように思う。やはりただ東京で暮らしているだけだと、自分の夢や理想ばかりが先走って、実際にそれに向けて何をしたらいいのかが見えなくなりがちだけど、ここには私の夢のかけらを現実に見せてくれる人がいる。身を持って示してくれるひとがいる。土にふれることも野菜を植えることも、そして自然の中に身を置くことも、確かに自分の夢として頭の中にあるけれど、頭の中にしかなかった。だからこそ今回の体験は貴重な時間になった。百聞は一見にしかず、その言葉の意味を改めて感じた。まだまだ知らないことだらけだけれど、本当に今から田舎で農的な生活を送ることを現実的に考えて、一つ一つ準備していこうと思う。少しでも多く、土にふれていきたい、と思う。また、今回幅広い年齢の方とご一緒させていただいて、いろいろな視点からの意見を聞けて勉強になった。ただ、まだまだ自分は殻を破り切れていないな、と反省した。こんなにも幅広い年齢、職業の人が集まっているのだから、もっともっとオープンに行動していかないと、と感じた。次回来るときにはより多くのことを吸収できるようになっていたいなと思う。
 本当に貴重な体験をさせて頂き、ありがとうございました。


里山帰農塾に参加して
T.K

 栄養士、消費生活相談員として、子や孫を持つ身としてエコや食料自給に関心があります。百年先の日本、世界が、美しく豊かであって欲しいと思うと、農業をなんとかしなければならない、との思いにかられます。今の日本は消費者が、生産の現場とかけ離れすぎている。もっと普通に、自分の菜園を持ち自分で作って食べられる生活はできないものかと思ってきました。
 しかし、農業に対する知識も経験も財力もなく、自ら実行する時間もとれずに、ただただ、周囲に必要性をいい続けてきました。そうした中で、「半農半X」の本を読み、この自然王国を知りました。加藤登紀子さんに会える、といったミーハーな部分もありました。
 参加してみて、昔、夏休み毎に過ごした、叔母の牧場での生活を思い出しました。そうか、私は、あの時迎えてくれたおばあちゃんになりたかったんだとふにおちました。そして、体験し、語り合う事の重要さを再認識しました。
 二児の母で働きながら通信で大学に学び、得たものは「弱い立場の人が豊かに生きられる社会が本当に豊かな社会」との認識です。自立支援のNPOを立ち上げ、運営にかかわり、弱者救済そのものの職業に就いています。親の介護を目前に控え、自分の使える時間は限られています。その中で何ができるのか。
 この自然王国で過ごした三日間で得た結論は「あせらず進んでいこう」です。語りながら仲間を増やそう、体験しながら実感をもって話そう、学んで政策提言も続けよう、です。
 農的生活の可能性を信じています。お金や時間に余裕のある人、志の高い人のみに可能な帰農ではなく、普通の人が普通に農のある暮らしができるシステムを作りたいです。棚田のオーナーは倍率10倍なら、はずれた9割の人の受け皿を作りたい。空家の倍率300倍ならはずれた299人の望みがかなうシステムにしたい、それは、自然王国の分国が日本各地にできること、そう思いました。


「平成21年度第一回帰農塾を終えて」
Y.I

 以前より農的生活に興味を持っておりましてが昨年ホームページでこちらを知り、今回受講することができました。
 受講前には周囲の友人からは「大変なんだよ〜」とか「想像とは違うはずだ」などと言われて参りましたが、実際「自然王国」に到着して里山の風景の美しさを見てから、不安は消えてしまいました。
 今回の塾では実習だけではなく、沢山の講師の方々の授業を受ける事ができて大変勉強になりました。現在田舎(里山)の農家の方々が抱えている問題、そしてそれらの問題を少しでも解決しようと行動を起こしている方々を知る事ができました。
 今回の塾で一番印象に残った事は、畑で食べたスナップえんどうの瑞々しさとその甘さ。そして念願でした田植えの足に感じた泥の感触です。“食”というものをこんなにも身近に感じる事ができたのは初めてだったのではないかと思っています。
 現代の物質社会の中で知らず知らずに単なる「消費者」になってしまっていた事、自分の生活の中に少しでも「生産者」になる為の取り組みをする事によって、今まで気がつかなかった充実感や安心感を感じる事が出来るようになる事を今回の塾で教えてもらったと思います。又、人と人のつながり、互いに支え合う事の大切さも改めて教えてもらいました。
 明日から元の都市生活者に戻り、人ごみの中、時計を気にしながら、沢山のデパートやコンビニ、電気屋さんの前を歩く事になりますが、少しですが何か変化するように思っています。又、これからは野菜をもっともっと大事に食べると思います。
 現在すぐに田舎へ移住という事はありませんが、近い将来仕事と農的生活を混在できるような路を時間をかけてゆっくり探してみたいと思います。


私の夢
H.O

 鴨川自然王国で感動したことは、朝起きてウグイスなど“鳥の鳴き声が響きわたって”、朝の“空気がやわらかくすがすがしかった“ことです。又目の前には深い緑の山々、きれいな段々の棚田があり、農業の豊かさが美しくあったことです。
 主食の稲も又大豆も野菜もあり、自然と調和し、すばらしい農業ができる地と感じました。
 さて、私の夢は自然と調和しながら、農薬も化学肥料も使わない、安心でおいしい米づりや野菜づくりです。木々や花の美しい、土のはだがかくれ緑とキレイな花々で囲まれた田んぼや畑のあぜ、美しく楽しい農場です。
 そしてできたら、規模が一ヘクタール以上の広々とした土地で、消費者や小学生など子供達も楽しめるような、参加や見学やイベントのできる農場です。ここでは楽しさと同時に本来の農が産業として続けられるような、ある所得水準も満たせる農業ができたらと思っています。楽しく美しく経営ができる、人々に愛され潤いがあふれている農業です。

 鴨川自然王国のスタッフの皆様、講師の方々にはいろいろ教えていただき、感謝しております。ありがとうございました。


「帰農塾に参加して」
Y.O

 農作業を体験してみたいというのが、私が帰農塾に参加した理由でした。特に田植えをしてみたいと思い参加しました。
 実際に参加してみて、畑や田んぼでの体験は、とても楽しかったです。田植えは、終わった時に何ともいえない満足感がありました。畑では、とれたてのスナップえんどうを食べて、その甘さと瑞々しさにびっくりと感動がありました。普段スーパーで見るだけの野菜(キャベツや空豆、ブロッコリー等々)が畑で生えているのを見るのは、私の中では、とても新鮮でした。
 そういった、農の部分での楽しさもありつつ、私は今回参加して、他の参加者の方や講師の方から、いろいろなお話を聞くことができたのが、何より貴重な経験になったなぁと思っています。
 食べる事、働く事というのは、どういう事なのか。生きるというのはどういう事なのかというような事を改めて、考えさせられました。
 「何の為に働くのか」「労働とは何か」というようなことは、社会人になってから、私の中に常にあった疑問です。そのあたりについて、今回参加して、地方で暮らす若い方の話や、鴨川に移住された林さんのお話、そして交流会の時の石田さんのお話を聞いて、今までの自分の疑問が少し、クリアになった気がします。
 生きる為に必要な物はお金で購入する。そのお金を得る為に働くと思っていましたが、生きる為に必要なものは、自分で作りだしていくこともできるんだなぁと、思いました。そして、その方がよりシンプルだなぁと思いました。
 田植え体験しようと思い来た帰農塾で、思いがけず、自分の生き方を考えさせられ、私にとっては、とても貴重な3日間でした。


目指せ!都会の百姓
A.S

興味があることに、ただ幅広く手をつけて充実感のないまま、気がつけば30代後半。ここ数年は「マクロビオティック」というキーワードで、縁がある情報に流されてみた。で、今回たどり着いた自然王国。なんでも枯らす私が食物を育てるなんて、大それたこと、と敬遠していた農だけど、この3日間で初めての一歩を踏み出す勇気は体に入ってきた。
 目指すは、「都会の百姓」。「百姓」とは確か百の職を意味していたのかな?今の自分の満たされない大きな要因は、自分のいない、からっぽの家に住んでいること。誰がいつどこで、どんな気持ちで作ったのかわからないモノに囲まれて暮らす生活。その便利だけど不自由な暮らしに常に心がストレス状態だったと気がつけなかった。まずは、目指せ三姓!?で、食に関する手仕事からやってみたい。生ゴミを循環させたベランダ菜園、みそ、梅干し等常備品の手作り、マクロビオティクの普及、いずれはできることが10に20に増えていけるように、デキの良し悪しは横に置いて、気軽に楽しくできたらいいなと思う。
 人口の都市集中も、環境問題も少子化も、大きくみれば地球のひと呼吸にすぎない。常ではない恒常性を、とにかく楽観的にとらえて、社会のため人のためにと、大きな目標を掲げ過ぎて、自分がおろそかにならないように、いつでも「自立した自己中心」主義で生きていきたい!と交流会での石田さんとのお話で強く実感しました。
 自分(ミクロ)と地球(マクロ)は同じもの。自分の心や体に起きてることは、必ず地球にもおきている。宇宙の秩序を知るために日本にいれば、日本の原風景が全てを教えてくれるんだ、と目の前に広がる棚田が教えてくれる。都会の百姓を目指すからには、棚田が目の前になくても、いつでも心に持つことができて、病気でも災害にあってもどんな困難な中でも、ただ平和な心にいつでも帰れる自分でありたい。


「帰農塾に参加して」
Y.H

 今僕は大学4年でどんな仕事をしたいか、すればよいか非常に悩んでいます。というのも、自分はどんな人間で何をすることが楽しいのかがよくわからないからです。自分は昔から友達も少なく、あまり人生が楽しいと思ったことがありません。友達といる時間も、家族といる時間も、心から楽しいなぁ、幸せだなぁと思えず生きてきました。今でもそう思ってます。でも、そういう人生をなんとか楽しいと思える人生に変えたいと思っているけど、どうやったら変えられるのかわかりません。
 僕は将来は田舎に暮らしたいと思ってます。なぜかというと、都会より田舎の方が落ち着くという事とお婆ちゃんへの憧れです。僕はお婆ちゃんの事が好きで、ああいう人間になりたいと思っていて、田舎で農業をすればお婆ちゃんみたいになれるんじゃないかと思って農業に興味がわき、そして帰農塾にやってきました。
 帰農塾の講義で甲斐さんのお話を聞いて、自分もふるさと協力隊のような活動に参加したいなぁと思いました。それが自分にあっているかどうかはわかりませんが、体験してみないことには始まらないし、いいか悪いか判断できないから、とにかく働いてみようと思います。もし、自分にあってないとわかったら次を探せばいいし、それはその時また考えればいいと思います。
 本来、消極的な自分が少し考え方が変わったのは、自分と共通している部分がある人達と話せたからだと思います。そういう意味で帰農塾に参加して良かったですし、また機会があれば参加したり、コミュニケーションとったりしたいと思います。
 自分の将来が幸せなものになれるように、これから精一杯活動していきたいです。ありがとうございました。



H.Y

 私は大学から山登りを始め、都会と山を行き来するうちに都会の暮らしに疑問を持つようになりました。雨を降らせるのも、おいしい水を恵んでくれるのも山なのに、それに対する感謝がないと思ったのです。和辻哲郎や内山節の本を読んで、想いは強くなりました。
 これからが帰農塾参加の動機ですが、今こうしてレポートを書いていて、口で言うことの簡単さと行動することの困難、厳しさに、正直戸惑っています。
 今回実際に農作業をしたり、農家の方のお話を伺ったりして、農業で生きていく大変さを知りました。甲斐さんのお話では、農に関わる仕事を若者が「創造」していると知り、私の自然に関わりたいというだけの考えが、行動を伴わず、いかに生半可なものか痛感させられました。半農半Xという考え方も初めて知り、自分の家にも少し畑があるから実践できるかもと意見交換のとき発言しましたが、林さんの経験談を思い返すと、自分の安直な考えに気付きました。農に携わる熱意と行動力。帰農塾で学んだことは、そういう現実でした。
 ミツヲさんから交流会の後に聞いた言葉が頭に残っています。社会に出る前に社会を毛嫌いするより、社会に出て社会のどこが心底嫌いになって、今の生き方を選んだというお話だったと思います。
 私に足りないもの。体験に尽きます。どんなに本を読んで、大きな考えを抱こうとも、体験してそう思わないからには、熱意も行動力も生まれません。
 私はおそらくこれから社会に出ると思います。私自身、安定性や社会的地位という都会の論理を手放せない部分もあります。実際に社会に出て、そういったものに心底愛想が尽きたとき、都会の暮らしに嫌気がさしたとき帰農塾での体験や農、自然への想いが自分のなかでどんどん大きくなっていくと信じます。
 また固い考えになってしまった。ともかく私にとって必要なのは体験です。都会、農業、フィールド問わず体験です。これからも農との関わりがなくならないように体験していけたらと思います。


「これから」
K.S

 不安から始まり、さぁこれからだ。という気持ちになった所で帰らなければならない時間になってしまった。
 以前から興味のあったレストランに勇気を出して入ってみて、前菜を食べ終わった所で、次の料理は、次回来店された時、お出しします。と言われた心境です。
 僕は、海の近くで自然と共に暮らしていきたい。という想いがあり、今それを実現させる為に働き出した所です。農業の勉強をした訳でも、田畑作業の経験がある訳でもないので、講義で農家の現実や地方の田舎の活動の話を聞いても、いまいちピンとこなかった。専門的な用語も分からない。話を聞いていてもなんとなくぼんやりとした印象でした。
 実際に畑に出た。田んぼに入った。畑に実っているエンドウ豆をちぎって食べた。田植えで腰が痛くなった。体験したからこそ、ここでの食事がとてもぜいたくである事がわかった。
 僕は農家になりたい訳ではありません、でも自分が食べる分位は自分で作ってみたい。それがどういう事なのか、そのほんの一部。映画の予告を見た様な物だと思いますが、知らないよりは、知っていた方が良いと思うので今回はとても良い経験になりました。
 僕の様にサーフィンがしたくて、海の近くに住みたいという事で移住してきた人達が、沢山居るという話も聞けて、自分の目標が実現可能なんだな。という事も分かりました。
 これからも、時間を作ってこのようなイベントに参加して吸収できることを見つけていきたいと思います。時間をかけて、自然な感じで移住できたらいいなと思います。
 また、鴨川だけでなく、他の土地を見る機会があれば見て、鴨川との比較もしてみたいと思います。慌てず焦らず目標に向かって歩いていきたいと思います。



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