帰農塾 参加者 レポート 
KINOUJUKU SANKASYA REPORT
9月19日~21日 里山帰農塾 9月 ~いのちを見つめる~  
 
2008.9.21 更新日 2009.10.23


いのちを見つめる。
A.T

 普段毎日食事をする中で、殆ど意識する事の無い「いのちを頂いている」ということ、自分が口にする時には、全く意識しないくせに、食とか環境の話題で誰かと談義をするような事があると必ず誰かが「どうせみんな、何かのいのちを食べている」というような発言をすることがある。それが、自分であることもあるのですが、いつも心のどこかで「そんなこと、実感したこと無いくせに…と、どこかで罪悪感というか、自分がとても無責任なことを言っているような気がしていました。あるきっかけで帰農塾のカリキュラムを見て鶏の解体ができるということで、少しでも今までに感じてきた罪悪感や無責任と感じた自分と向き合えるのではないかと思って参加しました。結果的に、鶏のいのちや自分について何か答えのようなものが見えた訳では無いけれど、ひとつのいのちが生きている瞬間から断える瞬間をずっと手のひらで感じることができたという体験を得ることができたことはとても満足しています。これからの自分の食生活でも何か大きく変わるということは無いと思いますが、いろんな命に生かされているということをもっと感謝したいと思います。
 今回の3日間でお会いした、鴨川に暮らす人達は、本当の豊かさを知っていて、安心してそれを楽しみ、求めていらっしゃるということがとても良く伝わってきました。近い将来、自分の生活を農的な生活に変えていきたい、だけど…の後に続くたくさんの不安が少し小さくなり勇気をいただけたような気がします。
 全てのカリキュラムがとても充実していて興味深いものでしたし、参加された皆さんとの出会いも同じ思いを持つ人達がたくさんいるということを実感できて勇気付けられます。この3日間で見たもの、教えてもらったこと、聞いたこと、感じたことを大切にして、「私らしい豊かな農的暮らし」を築いていければと思います。
 お世話になった皆様ありがとうございました。そして、又何度も来ると思いますので、宜しくお願いいたします。


鴨川パラダイスに向かって
K.K

 2008年10月のリーマンショックによる金融危機は、会社経営をしている私にはショッキングな出来事でした。でも、そうなる予感は元々持っていたので驚きはなかったのですが後始末が大変でした。常にやって来る不安感。でも、そんな危機を脱した時、「本来の生き方は何か?」を自問し始めました。
そんな中で出した答えが、ローカルコミュニティの中での生き方でした。農ある生活を実現する。ある程度まで食料を自給し、セルフビルドで住生活を作り出し、信頼のおける仲間とかあれば幸せに生きていけるはずという理念でした。24年前にニュージーランドに住んでいたのですが、当時、自給率が300%以上、日本の本州くらいの広さに380万人足らずの人口。人々は本当に豊かに生きていました。当時、私は、週三日働くだけで生計を立てていました。
 今回の帰農塾で林氏と出会ったおかげで地域通貨の勉強ができ、自分が目指すパラダイスの実現がイメージから確信に変わりました。地域通貨には、人生き好き事、得意な事を周りとシェアーすることにより豊かに生きていける可能性、本来の人と人との結がりで成り立つ社会が生み出される可能性があります。その実例を見せていただいたのは、大きな成果です。
 また、ラブ&ライスの方々のお金を使わず知恵で生きていく話。廃材等、必要な物は向こうからやって来る、まさに、天命を生きていれば、フローはやってくるという楽観的思考には共感しました。私も含め都会に住むと、いかに「お金」というマジックに操られているかを実感しました。
今後は、第一ステップとしては、鴨川に拠点を移し半農半Xの会社の実現。第二ステップとして農業、マクロビオティック的食養、セラピー等を取り入れたワークショップを組み合わせた活動、事業を実現していく予定です。
 このような、貴重な場を与えて頂き関係者の皆様には御礼申し上げます。次なる自分のステージに生かして参ります。


~いのちを見つめる~に参加して
K.N
 
 これまで、将来は田舎暮らしをしてみたいという漠然とした夢を夫婦二人で抱いていたが、二年半程前、長年勤めていた会社を早期退職する機会に遭遇し急に現実味を帯びてきてしまった。趣味であるカヤックツーリングやテレマークスキーで野や山や海や川で遊んでいる中でそこで出会えるいろいろな自然の移ろいや心地良い空間の中にどっぷり浸って生活したいという願望がきっかけではあった。しかし、現実はそんなに甘いものではないという事は当然の事である。そこで、当分の間は、様々な情報を収集し、様々なノウハウを学び経験し、本当に自分自身が本気になって出来るのかを見極めようと思い立ち行動してみる事にした。
 まずは、セルフビルドの家を建てようとしている人を知人に紹介してもらい手伝う事にした。そこでストロウベイルハウスというものを知り、パーマカルチャーという持続可能な自然の営みを活かした生活のデザインに出会った。これまでゴミでしかなかった物が視点を変える事により新たな資源となる事。多様な生態系が個を活かし強くする等、人間社会も含めた自然の理の奥深さを知る事につながってきた。更にパーマカルチャーのイベントを通じ鴨川自然王国の存在を知る事ができ今回の~いのちを見つめる~に参加することができた。
 今回は鶏の解体が体験できるという事で参加したのだが、講師の方の分かりやすい説明と指導でありがたく「いのち」をいただき味わう事ができた。しかし、今回の帰農塾ではそれにとどまらず、鴨川に移住して懸命に自身の生き方に向かい合う多くの方に出会い話を伺う事が出来、何ものにも替え難い体験を得る事が出来た事は想定外の喜びとなった。
 今後、より現実的に希望を持ち理想をかかげて行動していきたいと思う事ができました。鴨川自然王国のスタッフの皆さん、一緒に参加された皆さん、本当にありがとうございました。


農業関連事業の起業に当たり
K.T

 今回、私が里山帰農塾に参加した目的は、現在企画中である農商工連携事業の起ち上げに際し、現場の農作業を実践するためです。
 事業の具体的な内容としては、過疎の進んでいる田舎地域に農地を確保し、農産物の生産、販売、宿泊施設、レストランを作り都会生活者に田舎生活を実践してもらうというもので、カーボンフリーを意識し、出来れば地域通貨の発行もできればと考えております。都会では人口の過密化が進む一方、農村では高齢化、過疎化が急激に進行している現状の中、手軽に田舎生活農作業の出来る環境を提供すことにより、心身共に健康になってもらえればと考えます。またそのような生活に慣れ親しむことにより、将来的には移住検討の一助になればとも考えます。
 今回里山帰農塾に参加し気が付いたことが2点あります。一つは自分が農業というものの現場を殆ど知らなかったことが上げられます。本の知識だけでなく現場を味わうことが出来たことは今後の事業に役に立つものと信じます。二つ目は甲斐さんの講義を聴き、自分の実家のある長野県の良さ、素晴らしさを認識できたことです。私は実家のある長野県には高校卒業まで18年間を過ごし、東京に出て26年間になりますが、もう一度長野県の良さを再認識し、起業の候補地の一つとして考えていきたいと思います。
 今後は里山帰農塾への参加により、農業及び関連商工業の知識を深め、良いアイディアを創出し、起業につなげていければと考えております。具体的には今年中に事業計画を含めたプランを作り、農水者等への提案、働き掛けを実施し、来年4月には起ち上げが出来るようにしたいと思います。里山帰農塾の事務局、講師の方々、参加者の方々は農と田舎生活という意味で大先輩であることから、今回一度限りのお付き合いとせず、今後も色々なアドバイスをいただければ幸いに思います。引き続きどうぞ宜しくお願い致します。


「いのちを見つめる」
M.Y

 今回で二回目の帰農塾に参加しました。
 山里の風景に囲まれ棚田の稲刈りは、みなさんと共に嬉しかったです。
 また、今期は何といっても「ニワトリの解体」を体験することでした。食を通していのちをいただく。その事を見つめてみようと思いました。自分で殺していない食材。
 私の友人で「自分が殺せる範囲のお肉しか食さないようにした時、牛は?豚は?とりはどうなのか……。彼はニワトリを殺せなかったゆえに特別な場合しか食さない。
 お肉料理を食べる私はどうなのか…。
 ニワトリをシメることが出来ませんでした。涙がどんどん溢れて、可哀想ではなく、ニワトリに対して私ができる最低の礼儀とは何だろう。せめて、苦しむ事なくキュっと首をシメてあげること。祈ることなのか、迷いの事から、思わず「自分には苦しめずにニワトリを殺すことはできないと思ってしまいました。急に殺生できないと!!
 この「いのちを見つめる」講義課題は、私にとって更なる「食といのち」課題となっていくのだと思います。
 とても大切な体験と課題をいただい様に感じています。
 鴨川安房での地域通貨はとても素晴らしい事なので参加したいし、繋がりたいです。


自然な生活に向かって
M.M

 「退職後の第二ステージをどう生きるか!?」
 仕事にのめり込み、他のことを捨ててきた不器用な私でした。七年前、病気(癌)を得て、もっと楽しく楽に生きる生き方への方向転換を模索し始め、新しい世界や人の出会いが広がりました。この延長戦で、更に自分を解放できる第二ステージを見つけたい――そんな思いで里山帰農塾に参加したのでした。
 今回のテーマ「いのちを見つめる」は私の心を掴みました。鶏の解体。できたら見ないですませたいと思う事をあえて体験する、思い切って行ってみようと思いました。
 農業のことまで知らない私でしたが、あさつきの苗植え、縄ない、稲刈り、楽しかったです。自分は思ったより農に向いているかもしれない、と稲穂の向こうに広がる青空を見ながら思いました。
 鶏の解体は、心臓がどきどき、身体中が硬くなりました。生命を断つことに自分が直接関わり、自分の手指の感覚を通して絶命の瞬間を感じました。反射的に起きる痙攣の瞬間、私は飛び上がりそうになりました。恐怖心でいっぱいでした。「ごめんなさい!」と心の中で叫んでいました。私はこの時の気持ちを忘れないでいようと思います。
 移住して暮らしている人たちの生活を見学できたことは、とても良かったです。Love&Liseの若者たちは、「お金がないから知恵を出し、人と繫がり、幸せだと思える生活がおくれる」と笑顔一杯で話してくれたこと、また、木下夫妻は、農と生活を創ることに実に楽しそうに取り組んでいられる姿は、刺激的でした。
 私は、すぐには、農に関わったり生活を変えることはできませんが、自分の今与えられている生活を見すえて、楽しい生活、自然な生活、人と繋がる生活、お金に頼らない生活の方向に向かって少しずつ改善していこうと思います。楽しみながら!
 また、参加したいと思います。その時の自分の変化がまた楽しみです。


「滞留中…我ら団塊」
Y.F

 昨年の十一月の帰農塾に参加し、また行ってみたいと思っていました。しかし、妻から費用のこともあり「本当に農業をやる気があったらいい。その前に先ず我が家の庭の草をとること」と叱られたり釘を射されたりもしました。来年三月の定年を前に、具体的な農への着地点とやる気の不鮮明さを突かれたという事でしょう。
 でも私としては、日常を離れての三日間の塾はかけがえのない経験を今回もまたさせてもらいました。
 座学、稲刈り、ヨガ、ニワトリの解体、植え付け作業、半農半Xの体験談、さらには鴨川への移住者宅への訪問と、以前の帰農塾にも増して面白いメニューが揃っていました。
 それからの中で私の何よりの感動は、刈った後の稲を結ぶワラをなったことです。参加者全員が出来たこととはいえ、最初はなかなかうまく行かなかったので、農作業の基本であるナワないが出来るようになったのは嬉しいことでした。これで、ワラ草履も縄もなえるんだ、と。
 次はニワトリの解体で、ニワトリを紐で足からぶら下げ、包丁で頸動脈の左右を切り安楽死させるという作業は、思ったよりスムーズに出来ました。(参加者二人で一羽を担当)。ぶら下げられた時のニワトリはどう感じているんだろうと思い、あまり抵抗なく死んで行ってくれたニワトリのことを思うと、生命連鎖の頂点にいる我々ヒトの存在を思い知らせれた。講師の方が言われたように我々は謙虚にきちんと(殺すということに対して)振る舞わなければならないことを痛感しました。私は、初めて“解体”を経験しました。幼き頃、父がやってくれたことを、あのニワトリをお湯につけ毛を抜く時の臭いと共に思い出しました。ササミを食べる為に、私達兄弟はしょう油を入れた小皿と箸を持ち心待ちにしていたのです。味は忘れてないけど、きっとうまいうまいと食べたんでしょう。昔はニワトリの解体は家庭でも日常的にやられていたんでしょうが、でも、やはりこうしたシーンを子供たちに見せ伝えるということは大切なことなんだと思いました。
 次にびっくりしたのは、帰農塾の方から今回の衆議院に当選されたということでした。帰農塾の発起人・藤本敏夫氏も参議院当選を目指されたことがありました。この際、農・林・漁を国の基幹産業にし若者が進んで就労できるシステムを作って欲しい、と思います。
 最後に、我が団塊世代は、個々には動いているけど大きなうねりとは未だなっていないとの甲斐さんの指摘がありました。都市に滞留している我々がどう動きだすのか、自らの具体的な着地点をも含め、未来がかったテーマだと改めて気付かされた三日間でした。


帰農塾に参加して
M.S

 最近の私の興味あることの一つに古神道の研究がある。研究といっても下手の横好きレベルの関連文献を読んだり古い神社をたまに訪れたりといった類のものである。今回この鴨川自然王国の里山帰農塾を選んだのも、鴨川ってのはアワの国だよな、一回行ってみよっか的な発想から単純安易に決めたようにも思える。安房というのを駅に着くまでヤスフサと読んでいた無知ぶりでアワアマツ駅あたりから変だなと気付き駅に到着した段階でここが正しくアワの国なのだと認識した次第である。
 もう一つ最近興味を持っていることとして自分の食べるものは自分で作ってみたいという高野先生も講和の中でお話されていた「自分の自給率の向上」である。仕事はかなり農業に近い所にいて多少の知識は持ち合わせてはいるものの実際のところは実地のノウハウは全く持ち合わせてはおらず、ものは試しとばかりに帰農塾への参加を思いついたのであった。
 帰農塾に参加してまず始めに驚いたことは「パーマカルチャー」「エコ○○」などという単語がのっけから耳に入ってきたことである。そのような取組み、活動への関心が全くなかった己の程度の低さに半分あきれながら周りの皆様のお話しを拝聴、勉強することからスタートとなった。 
 カリキュラムの畑作業、稲刈りの実体験は私の今回のメインテーマであり、土の問題、水はけの方法等やはり実際目で見てさわってみなければわからないものであり大変勉強になった。また作業の負荷も体験してみなければわからぬことでありこれも短い問題とはいえ認識ができよかった。
 鶏の解体においては、実際に自分が行うものとは思っていなかったため、これも思いがけずの体験であった。冷静に対処できたが食のありがたさを再認識することとなった。魚のサバキはできるが鶏をサバクのも初めてであったのでこれも体験できたのは大きな収穫である。
 高野先生、甲斐先生、木下先生の講話、また移住者訪問なども大変勉強になった。個人的には大山不動尊に寄って頂いたのもうれしかった。
 これらの経験を基に今後の人生に生かしていきたいと思う。最後に今回参加されたメンバーの皆様、スタッフの皆様に厚く御礼申し上げ結びといたしたい。ありがとうございました。


生活という視点
K.K

 「自給自足。」野生化していけたら、とても元気になれるだろうと思っています。昨年(二〇〇八年)の年末に自分がガンになっていることが、わかりました。はじめのうちは、病院を頼りにしましたが、このままでは、逆に死んでしまったり、また新たなガンを作り出すことになるだろうと感じ、玄米菜食に目覚めました。オーガニックの玄米を土ナベで炊いたり、エネルギーの強い野菜をシンプルに調理し、食べる事に幸せを感じ、体の調子も良くなりました。食べれば食べるほど、シンプルに生きたい、自分で玄米や野菜を作ったり、野菜や木の実や果物などを採って食べたいと思うようになりました。太陽と土、おいしい水と空気の生活へのあこがれです。
 縁があって、鴨川自然王国の里山帰農塾に参加をすることが出来ました。研修生になれるか様子を見ようとさそっていただいての事です。そして、その土地のやり方があるという事を学びました。今回の講義の中でも出て来た、自然農という考え方にとても気持ちがひかれていますが、次の一月から研修生として自然王国の一員になれてもすぐにやれるわけではないし、実際的に田んぼへの除草剤の使用もやむを得ないとの事でした。体験したことがないので、体と地球への影響がどのようなものかがわかりませんが、抗がん剤を使った経験から、薬というものへの不安が大きく、研修させていただくという事に迷いがではじめました。とても良い環境とミリョク的なスタッフの方々と、長老たちの素晴らしい技を勉強できる等、自分にとって良いと思える事が、たくさん。今回のニワトリの解体も非常に貴重な経験でした。しかし、迷いがあったらやめておくというのは大切な事だと思おうので、研修のはなしは、白紙に戻していただくのが良いと思いました。自然農の生活を探し、雑草のような穀物や野性的な野菜を育んでいけたらと思うようになりました。少しずつ具体的なイメージが見えてきました。
 ありがとうございました。



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