帰農塾 参加者 レポート 
KINOUJUKU SANKASYA REPORT
5月13日〜15日 里山帰農塾 5月 
〜3.11後の社会とライフスタイル〜  
 
2011.5.15 更新日 2011.6.2
 
里山帰農塾 3.11後の社会とライフスタイルを受講して
K.O

 平成20年3月14日、私にとっての今でも信じられない時間が止まった状態の事件が、起きたのでした。今でも信じられなくて、こうして書く事も自分を表現する手段さえも、何もできなくなり、生きている実感がなく、外に見える私は全く別人格なのです。
 停年を間近にして、夢があり着々と計画実行、一歩ずつはじめるつもりでしたが、いくら時間が過ぎても変わらなく、人間にとっていかに『心』が大切なのかと思わされました。その中でやはり自然は重要なのだと気付かされたのです。
 昨年はボランティアとして、新潟県十日町池谷にジェンという国際援助団体の一員にかわり活動してきました。今年3月卒塾式というジェンの活動は終了してしまいましたので私もそのまま続行でも良いのですが、別の視点でもっと違う体験をと思い里山帰農塾に巡り合ったのでした。勇気もいりますが、生きてゆこうとする自分の力を信じて、実行してみて、本当に良かったなというのが、実感です。
 自然は、確実に人間を癒す力をもっているし、生きるうえでの根源にあるものではないかしら、と思いました。
 私はまだ、この世にいたいのだな、そしてもっと上を向いて生きて行けるかもしれないと自分の心の声を聞けたように思います。普段の生活は止まるとどんどん底におちてしまうので考えない生き方、ただ行動すると何も残らないのですが生活できたのですが、むなしさだけの毎日でした。そんな自分をもてあましていたのですから。
 講師の方々のそれぞれ納得できるお話と直接自然と関わる生活を目にして根本的な人間の有様を深く考えるきっかけとなりました。
原発の件については、知識を広げるきっかけとなり、自然の山々、千枚田、鳥の鳴き声、水のきよらかさ、私自身の心がよみがえっていく、きっかけとなった気がします。
 これまで、自分を表現することが、思うようにできず、色や絵、もちろん文章がもっともむずかしかったのですが、乱筆でも、こんなに書けるようになった自分を実感しています。全てに感謝して帰らせてもらいます。
 ありがとうございました!!


3.11後のライフスタイル
S.Y

 以前から田舎暮らしに興味があり、また全国各地の田舎暮らしの状況を見て回ったこともある。その中で、ここ鴨川の地は既に移住者が多いことからも分かるように恵まれた土地であると実感できた。
 その一方で、3.11のショックとフクシマ原発問題があった。やっと少々落ち着きを取り戻してきたこの時期に改めて3.11を考え直す良い機会となった。
 様々な角度から行われた講義の中で分かったことは、正しい情報を把握したうえで、自分なりの考え方を持ち、それを解決する為の行動に移すということであった
 3.11関連の一連の出来事の中で、フクシマ原発の出口なき事故処理が心理的には最も重くのし掛っている。放射能という目に見えない恐怖に対して、また終束の時期が見えないことに対して、大きな重圧が掛っていることは間違いない。さらに、それに追い打ちをかけたのが、原発の発電中止に伴う電力不足の人為的に操作された情報であった。本来行う必要のない計画停電を行うことによって、電力不足の危機感をあおり、原発が必要不可欠なものだということを強調するような計画発電は、安定的な電気を供給する義務をおっている電力会社としては、あるまじき行為だと考える。その一方、良い点として、需要者側も節電に努める必要があることを改めて思い知らされた。
 このような電力事情下で思い知らされたことは、「昨日の常識は明日の常識ではない。」ということであった。料金を払えば自由に購入できると考えていた電気が、自由には買えなくなったわけだ。今まで電気の供給力に関して、何の心配もしたことはなかったが、これからは、電気エネルギーも自立を目指せる体制を準備しておく必要があるのかもしれない。
例えば、個人の自宅でも導入可能な太陽光発電を考えると、今までは電気代の節約のために導入するのが第一の目的であったが、今後は電気エネルギーの安定的か確保のために導入するというように、目的が変更される。家庭の生活のリスクを減らすためには、その必要性も出て来るだろう。
その他にも、従来の常識を改めて疑ってみることが多く出てくると思われる。この際、良い機会なので、自分自身の生活全般を見直してみて、生活上のリスクを再認識してみたいと考えている。今回の里山帰農塾は、その意味で、良い機会、自分の中での転換点となった。この場合、エネルギー面だけでなく、食というものの大きな再検討項目のため、有機食化に向けて、どのようなことが実際にできるのかを改めて考えてみたいと思った。
3.11をネガティブなだけの出来事として捉えるのではなく、大変不幸な出来事ではあったものの新しいライフスタイル確立の出発点として捉え直すことが必要なのではないかと考えている。
以上


里山帰農塾に参加して
K.A

 今回この里山帰農塾に参加したのは、極めて個人的な理由からでした。私はこれまでの生き方に疑問を感じ、生き方を変えようとしています。これまでの生き方とは、漠然とした表現ですが、「頭の中だけで生きている」という感覚です。それを、もう少し体を使った生き方にシフトしたいと考えていました。そのはじめの一歩が、この帰農塾でした。
 ところが、参加してみると、原発の問題やエネルギーシフトについて、TPPについてなど、これまであまり関心を払ってこなかったことについての講義があり、戸惑いました。しかし、講義を聴き、参加者たちとのディスカッションから、これらの問題が日頃私が感じていた漠然とした不安、不満と遠い所でつながっているのではないかと感じるようになりました。つまり現代社会では、大量のエネルギーを使い、食料でも何でもいつでも手に入れることが可能で、安心できるような気がしているが、実は非常にもろい仕組みの上に自分がいること、また、何でも容易に手に入れることが、生きることの充実感をうばっているのではないかということです。私は先にあげた問題について、これまで積極的な行動をとることはしてきませんでしたが、自身の生き方を変えることが、これらの問題の解決に極々わずかでも助けになればと思います。


「食・エネルギー・助けること」
Y.O

 今回、帰農塾に参加したのは、農的生活に近づくためのきっかけが欲しかったからということと、3.11後の自分の生活をどう変えていくべきか考えたかったからです。
 自然王国のことは三芳自然塾の方から聞いて以前から知っていました。漠然と行きたいと思いながらもなかなかきっかけがつかめずにいたので今回、王国に行けたことがまず嬉しかったです。また、鴨川の良さを何となく感じることができました。林さんを筆頭に、地域の良さを見出して、気付いて、それを広めようという方々がいることこそが、地域の強みだと思います。帰農塾も、座学と実習を組み合わせたスタイルで、勉強不足の私にとってはありがたく、役立ちました。これまで、実践中心で農的生活等をとらえてきたので、こういった知識的なアプローチも必要だなと改めて思いました。
 今後の自身の生活については、リックさんのお話から心に残っていることが役立ちそうです。エネルギー資源の枯渇が迫る中、拡大再生産のやり方を続けていてはいずれ限界を迎えて、世界全体があらゆる面で急降下してしまう。つまり、ガラッと変わることになる。そうならないために徐々に変えていく、そうすることで、できることがある、というお話。資源、エネルギー、資本主義経済、食料、これらがダイレクトに関わりあっていることがよくわかりました。食料を自分で作ること、種をまくことが、資源エネルギー問題をなんとかしてゆく糸口であるんだと自分の中でしっかり結びつき、畑が好きでよかったと思いました。
 最後に、林さんの言っていた「食糧問題・エネルギー問題・困っている人を助けること」この3つが今後とても大切、というお話がこの3日間で強烈に心に残っています。3.11以降、震災報道を目にするたびに感傷的になったり、放射能汚染の状況にあたふたするばかりでどうすることもできないことに、モヤモヤがつのっていきました。ですが、現実の状態をよく見すえて、困っている人をしっかり手助けしてゆく、そのことの大切さを教えられ、これから何をすべきかが見えた気がします。
 また来たくなりました。ありがとうございます。


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